馳星周 『光あれ』 [読書]
「他に仕事があらへんのや、徹。
学もない、コネもない、おまけに脚が悪い。
それでそこそこの給料をもらおう思たら、
原電で働くしかない」
馳星周さんの『光あれ』は、
敦賀を舞台にした小説である。
原発がなければもっと衰退していたであろう町。
その現実の前に、出て行くのか、目をつぶるのか、
現実を受け止めてでも踏みとどまるのか・・・。
そういった住民の葛藤は、
原発を抱える町ではどこでもあることなのだろう。
そして、福島第一原子力発電所の事故以降、
われわれはその問題を国全体のものとして、
真剣に向き合わなければならなくなっている・・・はずである。
最近、脱原発のデモやそれを巡る報道を見ていて、
だんだん単なるブームに堕しつつあるのではないかという危機感がある。
自分たちは本当に自分たちの言葉で語れているのだろうか。
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