稲本 正 『緑の国へ 生まれ変わる日本のシナリオ』 [読書]
書かれている事全てに賛同するわけではないが、これからの日本の価値、ジャパン・ブランド、生き方を考える上で示唆に富む一冊。もう少し、自分の頭で考え、腹に落とし、行動に変えていく必要がある。
<日本人は、何かを言われても、腑に落ちないと行動に移さない。>(p.52)
<自然と共生し、循環型の、持続可能なモデルをつくるうえで、日本は地球上でもきわめて良い位置にいる。>(p.54)
<学生たちやボランティアを森に入れて、プロフェッショナルの指導のもと、森の手入れに従事させる仕組みを確立すると良いと思う。>(p.64)
<哲学を踏まえた研究、開発>(p.71)
<復興する場所により組み立て方が違い、国家レベルの一様さではことは運ばない。>(p.76)
<それぞれの地域での創意工夫を生かした地域づくりを国や自治体がバックアップするという体制が望ましい。>(p.76)
鉢嶺登著 「ビジネスマンは35歳で一度死ぬ」 [読書]
これからの市場を動かすのは?~楡周平『虚空の冠 覇者たちの電子書籍戦争』(上・下)~ [読書]
- 作者: 楡 周平
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2013/02/28
- メディア: 文庫
もちろんフィクションだが、戦後のメディア、そして電子書籍を巡る課題と今後の可能性を考えるいいきっかけになった。今後、新興市場で物流と通信基盤の整備が進んだときに、自ら実店舗等の流通手段もを持たずとも、コンテンツを入り口にその他の通販機能を仕込んだ電子機器を一定の購買力のある層に一気にばらまいたらどうなるか等々、妄想は膨らむ。
それにしても、文庫版が出ているにもかかわらず、Amazonやhontoで電子版が単行本に準じる価格になったままになっているのはどういう戦略なのだろう?
<完成されたビジネスモデルの上で安定的地位を築いている人間は、それを根底から覆す革新的な動きを否定したがるものです>(上巻p.243)
<注文を出版社の通販サイトを通じて製造元、あるいは広告元に流すという仕組みが出来上がれば、一オーダー当たり幾らといった収益を出版社は得られるようになる可能性も開けてくるわけです。>
三浦しをん 『神去なあなあ夜話』 [読書]
<たしかに林業はきつい仕事だけど、楽しいこともたくさんあるように思えるんだが……。俺が黙っていたら、三郎じいさんはなだめるように言葉をつづけた。
「いまは、また状況がちがうで。勇気みたいな若いもんが、ようけ山に来てくれる。いい時代になったもんや。(後略)>
「林業に"ゆるーく"かける青春を描いた話題作」『神去なあなあ日常』の続編はやっぱり面白かった。主人公の勇気くんはあいかわらず自意識過剰でおバカだけど、それが若さというものだろう。携帯もなかなか通じない山村で林業のお仕事をして、恋をして…。とても可愛い。それにしても、森に恵まれた日本、この国の林業は、中山間地は、これからどこに向かうのだろうか。
高田佳岳 『被災地の空に花を咲かせた日』 [読書]
正月に読み直し。
著者の高田さんは東日本大震災から5ヶ月後の8月11日に、東北の太平洋沿岸で鎮魂と復興への祈りを込めて一斉に花火を上げるイベント「Light Up Nippon」の仕掛け人である。
報道や映画での高田さんの印象に比べると、この本ではLight Up Nipponに至るまでの高田さんの人生、高田さんの苦悩、苦闘、私が訪れたことがある大槌町に関するエピソードも詳しく描かれていて、より身近に感じられる。その分、考えさせられることも多い。反省も含めて。
<アキ君によれば、例えば何かのロケでトラブルが起こった際、「もうやめよう」というプロデューサーは多いらしい。そんな時アキ君は「まだ明るいから、何テイクか撮れますよ」と言葉を投げる。それで続行となればカメラを構えるし「中止」となれば、その後再開する可能性があっても、仕事そのものを降りるのだという。>(p.142)
<自粛を声高に叫んだり、「こんな状況なんだから出来るわけがない」と否定的な発言をするのは、ほとんど例外なく、自身が直接的に被災していない人たちだった。被災した人たちは誰一人としてネガティブな発言はしなかった。もちろん、花火が本当に上がるなどと信じてはいない。でも上がったらいいな、と思っていらっしゃる方が圧倒的に多かった。>(p.156)
<自分では小さなこと、他愛もないこと、思いつき、かも知れませんが、まずは口に出して、動いてみてください。馬鹿にされても、笑われても、邪魔されてもかまいません。大切な事は自分で動くこと。どんなに小さな羽ばたきでも、いつかは大きなうねりになり、世界を変えると信じてみてください。そんな皆さんの「想い」で、一緒に日本中を明るくしていけたら、と思います。>(p.211)
LIGHT UP NIPPONウェブサイト
http://lightupnippon.jp/
LIGHT UP NIPPON ~被災地の空に花を咲かせた日
- 作者: 高田 佳岳
- 出版社/メーカー: 竹書房
- 発売日: 2012/11/13
- メディア: 単行本
神門善久『日本農業への正しい絶望法』 [読書]
<舌が愚鈍化した日本人に農産物の安全性だの品質だのがわかるのだろうか?>(62p)
<農家といえば地権者であり、土地の希少な日本では地権者は往々にして強欲だ。>(72p)
<政府と経団連とJAが予定調和的に、企業やJAによる脆弱なマニュアル依存型農業へと補助金を誘導しているのだ。>(175p)
<「自由」なはずの今日の日本においても、不愉快な正論を大衆は抹殺しようとする。>(230p)
ヤマザキマリ 『テルマエ・ロマエ』Ⅴ [読書]
谷川彰英 『地名に隠された「東京津波」』 [読書]
谷川彰英氏の『地名に隠された「東京津波」」は、昔から存続する地名には、それなりの意味があること、東京とその周辺の地名には、山、台、川、谷、坂など、高低を示すものが多いこと、現在の東京の防災計画は津波をほとんど想定していないが、過去に東京湾で津波は起こっていること、今こそ高層ビルや地下鉄など交通網の発達で意識することのなくなった土地の高低を意識すべきであることなどを訴える。
先日、本書を持って、代官山→南平台→道玄坂→渋谷→宮益坂→青山と歩いてみた。渋谷までの同行者が歴史通の方ということもあり、代官山から目黒川を望む高低差を利用した回遊式庭園を持つ朝倉邸、西郷山公園も経由して、非常に興味深い散歩となった。どういう高低差だったかは、改めて書く必要はあるまい(ただし、青山は人名からの由来)。