真山 仁 『コラプティオ』 [読書]
「あなたは本物の希望を、日本人の心にしっかりと刻んで下さいました。
未来を信じて努力すれば、報われる社会がやってくるかも知れない
"Power tends to corrupt, and absolute power corrupts absolutely."
真山仁さんの『コラプティオ』は、東日本大震災後の日本に、
強力なカリスマ性のある総理が誕生するという設定の小説である。
震災以降、ますます政治の強いリーダーシップが期待される中で、
この設定は非常に魅力的で、心躍らせながら中盤まで一気に読み進めてしまった。
一方で、作者がタイトルで明示しているように、
このストーリーの基調には、常に権力の腐敗への懸念が流れており、
それが中盤から後半にかけて、徐々に姿をあらわしてくる。
では、腐敗が国民に不幸をもたらさないようにするために、
政治家自身は、そのスタッフ達は、マスコミは、
どのような役割を担うべきなのか、それともそんなことは求められていないのか。
何より、政治家による施政について、国民には責任はあるのか、ないのか。
読み込むことでもっと作者と語り合いたい、
そう思わせる小説である。
2011-09-18 01:00
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